ブックタイトル輸入カタログ2014

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概要

輸入カタログ2014

8オ・ドゥ・ヴィ、リキュールを加えることの意味これまで折に触れて、日本で生産される素材は味わいも薄く、また不自然な味わいのものが少なくないことを述べてきました。どうしても日本で手に入る素材では、主題となる素材の印象を弱めるように働いてしまいます。例えばフランボワーズのムースを作る場合です。日本の卵は、味わいが希薄であると同時に飼料に加えられている鰯の魚粉の匂いが、フランボワーズの味わいや香りを、弱い、濁ったものにしてしまいます。また日本の生クリームには、素材の特性を助けるカラッとした温かい味わいがないので、フランボワーズの果汁と混ぜるとやはりかなり印象が消されてしまいます。そこで、主にフルーツの味わいそのものが生きているリキュールは味わいのために、オ・ドゥ・ヴィは香りを印象的にするために加えて、全体のフランボワーズのイメージを高めてやらないと食べる人の心を動かすおいしさは作り出せません。フランスから比べれば、はるかに素材の品質がよくないこの日本では、よいフランボワーズのピューレとともに、秀逸なリキュール、オ・ドゥ・ヴィが必要なのです。ルゴルさんのオ・ドゥ・ヴィ、ジョアネさんのリキュールは、秀逸の極みであり、私のお菓子作りには、この二つの素材を欠くことは出来ません。                   フランス・アルザス地方のルゴルさんのオ・ドゥ・ヴィオ・ドゥ・ヴィ(フルーツブランデー)は、糖分と旨味を十分に含んだフルーツをアルコール発酵させ、これを蒸留してステンレスのタンクで熟成させたものです。オ・ドゥ・ヴィの命は、その香りの豊かさ、表情、後を引く長い香りがすべてです。私どもでは製菓用としては最良かつ値段も手ごろな3年ものを仕入れています。アルザス地方はさくらんぼやすももなどをはじめとしたさまざまの本当においしい、深い味わいのフルーツが生産されています。仕込みはそれぞれのフルーツの収穫時に行われます。もちろん、このオ・ドゥ・ヴィもフルーツの出来具合が味わいの豊かさにかかっています。ルゴルさんのフルーツを選ぶ目は厳しく、けっして少しの妥協も許しません。例えばキルシュの仕込みでは、トラックで運ばれてきた大量のさくらんぼを長さ5m、直径3mほどの発酵槽にポンプで吸い上げます。ホースを通る時に自動的にさくらんぼは砕かれます。あとの発酵は、ルゴルさんの目と鼻、まさに熟練の感覚で管理されていきます。毎日発酵槽の上の50cmほどの穴から長い棒でかき混ぜ、酸素を入れ、自分の目と鼻で最良の状態に発酵を導きます。その品質は、キルシュ、ミラベル(フランス産辛口ブランディー)などを頂点とし、国際品評会で毎年のように金賞、銀賞の高い評価を得ています。それは人の手だけで作られたとは到底思えない、神の手を借りた恵みの味です。口に含み、軽く口を動かし、喉へゆっくりと送ります。そしてゆっくりと鼻孔へ息を流します。香りが、艶やかに、きらきらとゆらめきながら、決して途切れることなく頭を突き抜けます。私はいつも思います。「まさにこれは神様の息吹なのだ」と。こんな素晴らしすぎる素材で、この日本でお菓子を作ることの、自分の人生の運の良さを感じてしまいます。凄すぎるオ・ドゥ・ヴィ、これ以外に言葉はありません。皆様もよく知っておられるルレ・デセールの会員の多くも、神様が力を与えて作らせたルゴルさんのオ・ドゥ・ヴィとジョアネさんのリキュール