ブックタイトル輸入カタログ2014

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概要

輸入カタログ2014

16スペインで学んだ、ゆたかなミネラルを含む大地の恵み私の素材探しは、まずフランスから始まりました。もちろんフランスの地は豊かで、それぞれの土地に心と身体を包み込むおいしさをたたえたさまざまの産物があります。しかしアリクサ社のアーモンドを得るために初めてスペインのカタルーニャ地方、内陸の地レリダを訪れた時は衝撃でした。すべての食べ物に圧倒され続けました。ただ、とてもおいしいのではありません。熱を持った力に溢れたおいしさなのです。新鮮なオレンジ、エスカルゴ、ワイン、スペイン版プリンともいうべきクレーム・カタラン…。口に運ぶにつれ、自己のあらゆる感覚が力に揺さぶられるようなおいしさでした。クレーム・カタランなどは、世の中にこんなにおいしいものがあるんだなぁと、それを食べている自分に、言いようのない幸せな気持ちを持ったことを覚えています。スペインの全ての土が今も豊かなミネラルを含んでいる。これが初めてのスペインの旅の印象でした。そして陸から下る豊かな栄養素を含んだ雨水は海を潤すのです。海は陸によって生かされています。“陸は海のかけがえのない母なのだ”ということを学んだ旅でもありました。そのスペインの土地の中でもカタルーニャの内陸の地レリダには、さらに豊かなミネラルが含まれていたのです。現在スペインには100種類以上のアーモンド種が栽培されていますが、なかでも品質の高いアーモンドとして知られるマルコナ種、ラリゲータ種、バレンシア種などが日本に輸入され、製菓業界で幅広く使用されています。例えばマルコナ種をはじめ、どの品種においても栽培される地域や土壌によって、品質や風味の良し悪しは変わってきます。年間の降雨量が多い海側の地域やマヨルカ島や海寄りのバルセローナ、アリカンテなどは地中のミネラルが雨水によって常に流され続けており、土中のミネラルは希薄になって、十分なミネラルを摂り入れることが出来ず、アーモンドの味わいも弱くなります。その一方、レリダではもともと土中に豊かなミネラルを含み、雨もたまにしか降らず、ミネラルも流されることなく温存されているのです。アーモンドやオリーブの木は水分を求めて地中深く根を張り、より豊かなミネラルを吸い上げ、スペインの中でも最上の味わいを作り上げます。同じスペインでも、雨の多い海寄りの地域で収穫されたものに関しては、アーモンドの実そのものに栄養分が蓄積出来ず、味わいが一段乏しいものになります。                   私の執念が実らせた、スペイン産アーモンドの輸入今では普通に輸入されているスペイン産アーモンドですが、今から20年近く前まではスペイン産のアーモンドは青酸が大量に含まれているという根拠のない理由によって輸入が認められていませんでした。スペイン産の本当に旨いアーモンドをどんなことがあっても使いたいという執念のもとに、その輸入を初めて可能にしたのは、紛れもなく私です。今から10数年前、スペイン各地からアーモンドのサンプルを取り寄せ、5ヶ月間ほどローストして食べたり、ダックワーズやビスキュイ・アマンドゥを何度も焼くなどして、アーモンドの味わいを比べました。すべてにおい豊穣の極み。私の感覚を圧倒するレリダのアーモンド