ブックタイトル輸入カタログ2014

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概要

輸入カタログ2014

3 そして偶然イル・プルーの輸入業務に携わることになった社員と2人、フランスのサプライヤーの元に旅立ちました。最初に訪れたのはアルザス地方で蒸留酒オ・ドゥ・ヴィを造っているルゴルさんのところと、ブルゴーニュ地方コートゥ・ドールのジョアネさんのところでした。その後、少しずつ取引業者が増えていきました。もちろん輸入業務は甘いものではありません。それもまったく何もないところから始めるのですから、多少なりとも形がつくまでは本当に大きな不安の連続で、自分の馬鹿さ加減を心底呪いました。こうして私共がまったく無の状態からヨーロッパの秀逸な素材を探し始めた1994年以降、フランス、スペインに度々足を運び、自分の足と舌で素材を見つけることに努めてきました。今考えても、会社はよくつぶれないで来れたなぁと思いますし、もう二度とこんな大それたことは出来ません。でも未知の地を恐る恐る訪ね、多くの未知のものに出会い、驚き、打ちのめされ、感動もしました。普通では得ることのできない様々の経験が人生の後半の自分を形づくり、舌を研ぎ澄ませ、そして今のお菓子にも大きな力と幅を与えてくれたと思います。 もう、私たちはいくつかの浅はかな無知ゆえの思い込みは捨てなければなりません。フランスのものはすべて日本より卓越しているという思い込みもその一つです。フランスは既に大きく変質しました。パリの名店「パティスリー・ミエ」のオーナー・シェフ、ドゥニ・リュッフェルを除いて真にフランス的な多重性と多様性をもった料理やお菓子を作れるものはいません。ましてや日本の素材を深く理解できていないフランス人にこの日本で真においしい料理やお菓子を作ることはもっと不可能なのです。そしてフランスやイタリアから輸入される素材にも、疑いの目を向けなければなりません。もう、自分の正しい目と舌で判断しなくては!! 多くのお菓子屋さんのお力添えのお蔭で自社輸入取扱商品もかなり豊富になりました。 私が集めてきた素材のほとんどは、私のお菓子作りの人生のすべての経験と知識、そして執念をもって現地に足を運び探したものであり、その味わいの豊かさは、正に抜きん出たものであると確信しています。イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ 代表・弓田亨