ブックタイトルrunebaby

ページ
5/36

このページは runebaby の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

runebaby

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

runebaby

日本の食事の悪しき慣習は離乳食にまで及んでいるのではないでしょうか。私の母(今年で83 歳になります)は現代のような離乳食が確立される前に子育てをした世代です。離乳食の本をつくるにあたり、もう一度母や叔母たちに当時の離乳食について尋ねたところ、「大人の食事を柔らかくしてつぶして与えていた」など、かなり乱暴な答えがかえってきました。現在のような離乳食のかたちになったのは戦後かなり経ってからで、それ以前は栄養が摂れ、消化がよければよいという大雑把なものだったことを改めて感じました。一方、私が娘の離乳食づくりをしていたのは1977 年。夫の転勤で社宅に一人、新米ママは孤軍奮闘しながらも、実家に電話をしたり、育児書や雑誌を参考にしながら離乳食をつくっていました。湯冷ましや果汁を薄めたもの、味噌汁の上澄みなどから始め、おかゆやジャガイモなどのすりおろしを入れたおじやをつくったり、娘が7 ~ 8 ヵ月くらいの時にはクリームシチューなどを味付けする前に途中で取り分け、子ども用に薄味のものをつくって与えていました。カレーなどの刺激物もいけないと思い、わざわざ子どもの分だけを別につくり、カラシやワサビも完全に避けていました。そのせいか、娘は未だに辛いものが苦手で、サンドイッチに塗ってあるわずかなマスタードもダメなようです。子どもの頃からの食事がこんなにも後々まで娘の食生活に影響を及ぼすとは、その時は思ってもみませんでした。そして料理をする時は、習い覚えて最良のものと信じていた「アク抜き・下茹で」オンパレードの料理法を、当然のこととして行っていました。こうした料理法によって、からだに栄養素を十分送り込めなかったことがやがて娘のアトピーや花粉症、さらには潰瘍性大腸炎につながったのではないかと思うと、母として胸が痛みます。栄養たっぷり、愛情いっぱいのごはんを子どもに与えてあげること。それが母として子にしてあげられる最良のことだと思います。いくら簡単で衛生的だといって、ビン詰めやレトルトに頼っていては家族の嗜好や繋がりは伝えられません。この本ではなるべく簡単に取り組んでほしいので、上手な段取りなど、より毎日たのしく料理をつくるコツもたくさん紹介しています。ダシをとるのが大変と思っている若いお母さん方も多いようですが、ルネサンスごはんはダシとなる乾物も水で戻したりせずそのまま鍋に入れて煮るだけ。そのままダシごと食べてしまうわけですから、とても簡単です。まずはできるところからはじめてください。そしてお母さん自身が「ルネサンスごはん」で日頃の食事を立て直し、大らかに、朗らかに子育てをされることを願います。椎名眞知子(しいなまちこ)山梨県甲府市生まれ。小さい頃から菓子・料理作りに興味を抱き、短大卒業後料理学校へ。その後主婦として、母として、家庭のために料理をブラッシュアップ。そして弓田亨のお菓子と出会い、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子教室1期生として学ぶ。1995 年より教室スタッフとなり、リュッフェル氏がオーナー・パティシエを務める「パティスリー・ミエ」他で研修。現在は副校長として、弓田亨のルセットゥ(レシピ)の味を守り、伝える“ イル・プルーの柱” 的な存在。2012 年4 月~ 2013 年3 月まで柴田書店『cafe -sweets』にてイル・プルーが提案するカフェメニューを連載。また近著にフランス料理教室から一冊にまとめた『ちょっと正しく頑張ればこんなにおいしいフランスの家庭料理』、より手軽においしいデザートがつくれるよう簡単なルセットゥづくりに取り組んだ『一年中いつでもおいしいいろんな冷たいデザート』などがある。また毎月のルネサンスごはん講習会で日々の家庭料理を広める活動も行っている。3