峻烈なる道程弓田亨

弓田亨が語る「エピスリー」

孤高の菓子屋が作った材料店「エピスリー」で、
本当の味を知って欲しい。

今から15年ほど前、私は無謀にも全く経験のない、秀逸なフランス菓子の素材を自分の足と舌で探し、この日本に輸入し始めました。なぜなら日本は特にフラ ンスやイタリアからの手抜きの素材の格好のはけ口だからです。多くの人が良質と思っているコワントローやグランマルニエのリキュール、サバトン社のパー トゥ・ドゥ・マロン、マスネ社のフルーツブランデーはじめ多くの製菓材料がフランス国内で流通するものとは全く異なる低品質のものが数多くあります。そし て、その傾向は今でも強くなっています。
 劣悪な素材でお菓子を作れば、あまりにも厳密になりすぎ、楽しさのないお菓子が出来てしまいます。輸入業者や問屋さんに言っても埒があきません。生来の無鉄砲ゆえに、自分でよい 素材をフランス、スペインで探し始めました。

店内には私の感覚が認めた素材が並べられています。素材探しにフランス、スペインを何度も回るうちに、さまざまな食の真実を知ることが出来ました。日本 には国産のものをはじめ、輸入されたもの、とにかく、ありとあらゆる食材が溢れています。しかしほとんどの物が、本来の味わいとは程遠い、少しもおいしく なく、健康を高めてくれるようなものではありません。また、せっかく品質のよい物であっても、保管が悪く、全く変質していたりします。そのような食材ばか りですから、今の日本人は本当のおいしさ、真実の味わいを知りません。またそれを知る機会が完全に奪われてしまっています。何とか真実の味わいが手軽に経 験出来る場所を作らなければならない。それがエピスリーを立ち上げた最も大きな動機なのです。

例えばスペイン、カタルーニャ地方のベア社のオリーブオイル。オリーブオイルの評価の本では世界で三本の指に数えられ、かつてスペインで行われた欧州サ ミットでは、各国首脳へのお土産に選ばれた逸品です。とにかく理屈抜きです。体が欲しがっている栄養素を豊かに含んだおいしさなのです。パンにつけたり、 肉じゃがにかけたり、ごはんを炊く時に加えたりします。全ての素材の味わいを、ぐーんと高めてくれるのです。それだけで一ヶ月もすれば、肌はしっとりとし てきます。同じベア社の赤ワインビネガー。日本人の酢への意識を超えた、本当の酢なのです。日本の味わいの希薄なさびしいトマトも、薄切りにしてオリーブ オイルと岩塩をふれば、まさに「とんでもなく旨いトマト」に変身してしまいます。私は毎日水で薄めてこの酢を飲んでいます。便通は調えられ、肌はますます 潤い、しっとりを超えてむっちりした手触りに変わり、何故か体に力が湧いてきます。

イタリアからのオリーブオイル? 輸入されるほとんどの物はイタリア産ではありませんよ。 他の国で作られた物に、スペインのオリーブオイルで味を整え、日本に送られてきます。
「どうせ日本人は味なんて分かりゃしない。フランスやイタリアのラベルが貼ってあれば、あいつらはただそれだけで大喜びだ」
 少なくないフランス人やイタリア人は、私たち日本人をそんな風にしかとらえていません。
もう私たちも自分たちの正しい目をもって、自らが判断出来る力をもたなければなりません。

豊富な品揃えはありません。しかし、私の感覚が許した、体と心に幸せと喜びを与える、真実の味わいをもった食材のみが並べられています。

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