私のルネサンスごはん ごはんとおかずのルネサンス

第1回:服部みれいさん(『murmur magazine』編集長、文筆家/東京都)

【その3】実家の父が、「おいしい」って食べてくれたことに感動。
ひじきご飯が、私のルネサンスごはんのスタートです。

──この辺でちょっと、服部さんが作っているルネサンスごはんについて、教えて頂きたいと思います。

服部みれいさん(以下:服部) ちょうど3月11日の地震の時、遠くに住んでいる事務所のアルバイトの子と一緒で、2晩我が家に泊まったんです。その時2人でずっとルネサンスごはんを食べていました。テレビを見ても悲惨な状況で、混乱したし、つらかった。でも、不思議とごはんを食べると凄く元気になって。数日間、あのご飯でどれだけ助けられたか。その時、ご飯って大事だねって、2人でよく話してました。

──地震から2週間後の3月25日に、青山ブックセンター本店さんで、生マー第9弾として、弓田をゲストに食の話をさせて頂きました。青山ブックセンターさんも、地震後初めてのイベントでした。

服部 私達は自粛しなかったのよね(笑)。あのイベントの直後、私は実家に用事があって帰ったんですが、その時に両親にルネサンスごはんを作ったんです。今にして思うと、方法もまだ完ぺきじゃなかったんですけれど。それ風な感じで作ったら、とにかく父が「おいしいおいしい」って食べてくれて。母が料理上手なので、父は味にはうるさい方だと思うのですが、ルネサンスごはんは「これ、おいしいな」っておかわりしてくれて。それを見て、ああ、これは凄いんだなって思いました。もちろん私もおいしいと思いましたけれど、とにかく父の反応に感動しましたね。

──ちなみにその時作ったものって何ですか?

服部 ひじきご飯ですね。田舎だったから材料もあまり揃わなくて。でもオリーブオイルとアーモンドは入れて。こんにゃくと高野豆腐と人参と、あとごぼうも入れたかな。あるもので作りました。

──服部さんのおかげでマーマーガールズたちの間にも、「弓田ごはん」が定着しつつあるのかなぁと密かに思っています。そこで、服部さん流のアレンジ術などありましたら伺いたいのですが。

服部 はい。うちの事務所は大体自炊をしているんです。特に原稿を書いている時は事務所にこもるので、自炊が多くなります。

 前日にいりこ、昆布、干し椎茸を浸けておき、翌日それでご飯を炊いて。とにかくもうそればっかり食べてます(笑)。ひたすら炊き込みご飯とお味噌汁です。

 ご飯は習いにいったので(注:イルプルの教室で毎月開催しているルネサンスごはんの講習会に来て下さいました!)、ほぼ忠実に作っていますよ。具材は旬の素材を入れるようにしたりはしますが、人参とか、ごぼうとか、大豆が入る時もあるし。こんにゃくは必ずいれるかな。アーモンドとオリーブオイルはイルプルさんのものを使っています。

 秋はさつまいもを入れたり。タイ米を入れて炊くのもみんなおいしいって言ってくれます。とにかくワーッて30分くらい煮て、一緒に炊くというやり方で。最近、とうとう飯台も買いました(笑)。水分を飛ばした方がご飯がおいしいので、なるべく飯台に移して切り混ぜしますね。手抜きをするとしたら、時間がない時はジャーの中でそのまま混ぜたり、保温しないでそのまま食べたりするくらいですかね。

※編集部でたびたび登場する弓田ごはん。ひじきご飯は特に登場回数が多いとのこと。

──そのまま混ぜられたら、そのままでもいいんですけれど。結構ルネサンスごはんって、具が多すぎて、そのままジャーの中で混ぜられないメニューが多いんですよね(笑)。

服部 そうですよね~(笑)。あとは、たまに金平ごぼうとかも作りますよ。とにかく、何にでもいりこの出汁を使っています。あと「沸騰させない」というやり方を、いろんな料理に応用しています。もっとおかずも作ってみたいのですが、それはこれからのお楽しみという感じですね。

──でも具だくさんのご飯とお味噌汁があれば、とりあえず大丈夫というのが、最近の売りでもあるので。

服部 よかった! あれにちょっと簡単なおかずやお漬け物を付けます。車麩をソテーにしたり、簡単な煮物を作ったり。あと最近編集部で一番人気のアレンジメニューがあるんです。前日のご飯の残りをチャーハンにしちゃうの。

──ご飯というのは、ベーシックな基本のごはんではなく、炊き込みご飯ですか?

服部 そうです。ひじきご飯とかね。ルネサンスごはんって、1回作ると沢山出来るんですよね。私は普段、その日に作ったものはその日に食べるのを基本にしているので、翌日に残りものを食べることはあまりしないのですが、このチャーハンは凄くおいしい。編集部でめちゃめちゃ流行っています。

──簡単に作り方を教えて頂けますか?

服部 はい。まず余った炊き込みご飯に、納豆、しそ、梅を入れて、オリーブオイルと生姜のみじん切りで炒めてチャーハンにするんです。ご飯がパラッとしていて本当においしい。薬味を入れるといいですよね。弓田ごはん+αって感じでしょうか。

 いろんなものが混ざっているごはんが翌日違う料理に生まれ変わると、また違うおいしさになります。これを海苔巻きにするのもいいですよ。手巻き風に、自分達で巻いて食べてもいいですね。

──うちの本の中で、最初に作るならオススメのメニューはありますか?

服部 やっぱり炊き込みご飯が一番ルネサンスごはんの特徴を味わえると思いますね。騙されたと思ってやってほしいです。このご飯をうちで食べておかわりしない人はいないです。どんな少食の人でも食べます。ホント、弓田さんには感謝しています。

 いりこを入れたままなのでビックリするかもしれませんが、あの方法で出汁をとって作ってほしい。お味噌汁もね。思い起こせばうちの祖母もいりこ捨てていませんでしたし――。

──確かに、今は普通に顆粒の出汁を使っている方も、年配の方だと、ルネサンス流の味噌汁を食べてみて、「そういえば昔、こういう風にいりこもそのまま食べていたな」と思い出されたりしますね。

服部 全部頂くということは、自然に対してもとてもいいことだと思います。とにかく何でもいいから基本のメニューを作ってみてほしいです。手順は覚えてしまえば簡単だから、本の通りに何度か作ればルネサンスごはんの基本が分かりますしね。それを覚えたら、あとは凄く楽な調理法だと思います。最初に今までの料理の常識を崩すのが大変かもしれないけれど、やってみたら簡単です。


その4へ・・・

【その1】最初に弓田さんのおせち料理を食べた時、子どもの頃に食べた、祖母の料理を思い出しました。
【その2】私にとって、弓田さんは愛情ある昭和の頑固爺。表面のことばではなく、弓田さんの愛を受け取ってほしいです。
【その4】弓田さんの「おいしさ」の基準が知りたいな、と思う時があります。素材を食べ比べるような、「弓田さんの舌をかいまみる会」があったらいいですね。


 


このインタビューに関するコメントはこちらからもどうぞ


このページのトップへ戻る

© IL PLEUT SUR LA SEINE Kikaku Co., Ltd.All Rights Reserved.