私のルネサンスごはん ごはんとおかずのルネサンス

第12回:続麻理さん(主婦・ルネサンスごはん研究家)

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続麻理さん プロフィール

ご職業:主婦 ルネサンス料理教室主宰 ルネサンスごはん研究家
ルネサンスごはん歴:2003年の初版発刊と同時
ブログ:ルネサンスな日々 http://akitarenaissance.blog.fc2.com/

イル・プルーのお菓子やルネサンスごはんは
まさに、「比類なき正統性」そのものだと思います。

──まずは、続さんがルネサンスごはんを知ったキッカケを教えてください。

続麻理さん(以下、続) 2003年初めに子どもが1歳近くになり、子育てにも少し余裕が出来て、「あぁ、そういえば私、お菓子作りが好きだったよなぁ」と図書館をうろうろ。『弓田亨のフランス菓子』(NHK出版刊)を見つけてのめり込みました。エッセイに心打たれ、作ったお菓子たちはテュイル・アマンドゥもタルトゥ・ポンムもケーク・ノワもプロよりおいしいと自分で思ってしまいました(ルセットゥや材料のおかげですが。その後何年もイル・プルーのどのお菓子を作ってもその思いは変わっていません。)
 こんな多様性や余韻のあるお菓子と釣り合いのとれるおいしいごはんを作れるようになりたいと願うようになりました。そんな時、『ごはんとおかずのルネサンス』の発刊予定を知り、発売を待ち構えていました。

──なるほど。最初はお菓子から入られたんですね。ルネサンス流のアク抜き・下茹でしない、砂糖・みりんを使わない、いりこなどを入れてそのまま食べる、などの作り方を見た時は、どう思われましたか?

 簡単そうで合理的、続けられそうだと思いました。単に伝統的な食事に戻るのではなく、オリーブオイルやアーモンドを入れるのが画期的に感じられました。「あの、お菓子に使うおいしいアーモンドを料理にも入れるのか。多分おいしいだろうな」と驚いたことを覚えています。

──実際に食べてみての感想は如何でしたか?

 想像以上の味でした。特にスペイン産アーモンドがごはん、煮物、漬け物の中で何とも言えない甘み、味の広がりを創り出していました。イル・プルーのお菓子と釣り合いがとれるふくらみのある味で、口の中全体に味が広がりました。上あごでも味がするし、舌の付け根の両端に味がよく届いている感じ。例えて言うならこれは3次元の味。今までおいしいと思っていた味は2次元だったなと思いました。

──3次元の味! それは面白い表現ですね。

 煮汁も自然に飲むようになりました。今ではそれが当たり前です。漬け物の汁も一部飲んでいます。

──よく作るメニュー、家族やお子さんが好きなメニューなど、いくつか挙げてください。

 餃子、大豆入りツナご飯、金平ごぼう、肉ジャガ、各種煮物、各種サラダ、かき揚げ、浅漬け、おせち各種…。伊達巻はちょっと大変ですが頑張った甲斐のある出来ですし、煮〆なんかは作り方が平易なのにこの年齢で(というほどは若くないですが)こんな味が出せるなんて! と感動します。でも、料理好きな子なら、小学校高学年くらいから作れそうな簡単さですよね。

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夫と息子の誕生日(同じ日!)
息子のリクエストでキッシュです。ハンバーグと白菜のサラダ。
イル・プルーで購入したワイン。
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玄米を多くした基本のご飯に具沢山の味噌汁。
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全粒粉入りの手作りの皮の餃子。
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醤油と糀ベースのあわせ調味料での和え物

──さすがにルネサンスごはん歴10年の続さん、いろいろ作ってらっしゃいますね。 続さんには以前、ルネサンスごはんで育てたお子さんの成長具合などをお手紙で頂き、弓田亨の食の仁王ブログの中で、「二児のお母さんからの手紙」として掲載させて頂いたことがありますね。その後、そのお手紙を元に『ごはんとおかずのルネサンス 心嬉しい炊き込みご飯と味噌汁編』などでも紹介させて頂きましたが、改めて、お子さんやご自身がルネサンスごはんを食べたことでどう変化したか、お伺いしてもよいでしょうか?

 もう思い出さないと出てこないのですが、私自身のことで言うと、頭痛、生理痛、雨の降る前のひざ下の痛みなどが消えました。一度出始めると2ヵ月も続くような咳もなくなりました。2012年5月頃、また咳が続いてしまいましたが、最近の食生活を振り返り、いりこと野菜を多めにしたら治りました。不自然な味のものにさらに敏感になりました。
 さらに最近気づいたのは、栄養が満たされていると空腹時がラクで、体調がいいと甘いおやつもそんなに食べたいと思わなくなったことです。結果、身体が少し締まってきました。気持ちも前向きで入られることが多いです。
 1歳7ヵ月からルネサンスごはんの息子も、生まれる前からルネサンスごはんの娘も、ほぼ順調に育っています。

──ちょっと以前頂いたお手紙と重複すると思いますが、再度息子さんと娘さんの健康状態について伺えますか? まずは1歳7ヵ月からルネサンスごはんの息子さんと、生まれる前からルネサンスごはんの娘さん、二人の共通点を教えて下さい。

 二人の子どもに共通していることで言えば、発熱も年に一度あるかないかで、発熱しても38.5℃以下で1~2日で治ります。また食べ物の好き嫌いも殆どなく、夏バテや夏瘦せなどもありません。便通もいいですね。
 また息子の方(1歳半からルネサンスごはん)はアレルギー検査で、犬、ハウスダスト、ダニのアレルギーがありました。特にハウスダストとダニが6段階の6で、総IgEも基準は2ケタだそうですが息子は1800台であるにも関わらず日頃これといった症状がないことは驚きでした。体質的にアレルギーを持っているのに症状がでないのはルネサンスごはんのお蔭かなと思います。
  友人からも、親である私に花粉や雑草のアレルギーが軽症ながらあり、夫とその姉も子供の頃小児ぜんそくだったにもかかわらず、子供にアレルギーが出ていないのは凄いことだと言われました。

──やはり豊かな栄養素をとっていると免疫力が高くなるのでしょうかね。ちなみに娘さんだけに特徴的だったことなどありますか? 下のお子さんは、5年間ごはんを続けてしっかり身体が出来てから産まれたんですよね。

 そうですね。娘は出生時は3500g、母乳のみで生後1ヵ月で4.8㎏まで育ちました。
 (ちなみに息子は4108gで生まれ、母乳とミルクで一ヵ月半で6280gに育ちました。)
 また生まれた時からあまり首がグラグラしていなくて、生後2~3日目には、左向きに寝ていた頭がいつのまにか右向きになっていて驚きました。首の筋肉が発達していたのだと思います。また赤ん坊は良く同じ向きで寝て頭の形が一時的に変形しますが、娘はまったくそう言うことはありませんでした。首がすわるのも早かったですね。歩けるようになったら長い距離を喜んで歩くようになりましたし、2歳半ほどで夜から朝までおしっこしなくなりました。

──離乳食などは、どんなものを与えていましたか? 実は今後、産前産後や離乳食の本を考えており、もっと気軽に大人のごはんからの取り分け食などをしてほしいなと思っています。続さんの時は、どんなものをあげていたのか、もし宜しかったら参考までに教えて頂けますでしょうか。

 細かいことは忘れてしまいましたが、楽々だったという印象は残っています。娘だけのために何かを一から調理したということは一度もなかったです。ドロっとしたおかゆを好まないようだったので7~8ヶ月から軟らかく炊いたご飯を食べさせました。おかずや味噌汁を具を細かく刻んで出しいっぱいの煮汁とともにご飯にかけてあげると良く食べました。10ヶ月頃までは多少薄味にしましたが、一歳近くからは大人と同じ味付けでした。
 生まれた時から母体がいい食事を摂っていい母乳を出し、子供よく母乳を飲むのでよく眠り、子供がよく眠るので母体も休めてまたいい食事をつくることができて、といい循環が出来ました。

──今、お子さんは小学生と幼稚園、ですか? 感想を頂いてから既に2年ぐらい経っていますが、その後如何ですか?

 息子は今小学4年生で週4回のサッカーの練習がハードすぎて一時的に鉄欠乏症になってしまっていますが、回復を信じています。スポーツ栄養学という分野があることを知ったので、いいと思ったことを取り入れてルネサンスごはんの相乗効果を願っています。

──なるほど。成長期というのは本当に様々な栄養素が必要ですね。
えーと、続さんは秋田市にお住まいですが、ここで少し秋田の全般的な食事情についてお伺いしても宜しいですか?

 はい。私の住む秋田市では国産や秋田県産の生の魚がけっこう売られています。私は冷凍コーナーはあまり見ませんが、割合としては、生と冷凍が1:1もしくは3:2ぐらいの比率でしょうか。生の魚は鰆、鱈、アンコウ、カレイ、ソイ、しんじょう、ブリ、ワラサ、鯖、南蛮エビ、イカ、ホタルイカ、鰯、秋刀魚、鯛、岩ガキ、サザエ、金目鯛、ニシンなどがあります。
 あと身欠きニシンはどのスーパーにも売っています。
 野菜では、スーパーの一角に地物野菜コーナーがあるところも多く、農家の方の名前が書かれた、見るからに新鮮な野菜が売られています。道の駅にも野菜直売所が併設されているケースが多いですね。
 あとコイン精米所が私の家の近所だけでも3~4か所あります。スーパーの駐車場に置かれたちょっとした小屋のようなもので、コインと玄米を入れると七分づきや三分づき、白米、無洗米など、好みの加減に精米してくれます。大体100円で10㎏まで精米出来ます。
 出てくる糠は自由に持ち帰ることが出来るので、時々貰って糠床に足しています。また七分づきだと玄米が苦手な夫も食べやすいようですので重宝していますし、七分づき米とタイ米で炊き込みご飯にするのが私は好きです。(その後、2013年になってから玄米100パーセントに大豆や小豆を入れて炊くことが多くなりました)

──そして今、続さんはルネサンスごはん研究家として秋田で活動を始められていますね。始めることになった経緯を聞かせてもらえますか?

 ルネサンスごはんに出会った頃から自分の友人たちにはお勧めしていましたが、もっといろんな人に知ってもらいたい、それと弓田先生の「失われし食と日本人の尊厳」にあった食を良くしていく「下からのうねり」のひとつになれたらと思いまして。いろんなところ、人、物事への恩返しという気持ちもあります。それがまた人のため自分のためになってくれると思います。

──講習会をやってみて皆さんの反応は如何ですか? また講習会をする時に心がけていることなどはありますか?

 出来上がった料理を食べて深く息を吸い「美味しい~」ととても幸せそうな顔をしてくださるので私も嬉しいです。ご本人やご家族が肌がつるつるになったとか、耳鼻科に通わなくてよくなったとか体調も変わってきているようです。味噌汁は続けて下さっている方が多くいます。
 心がけていることは、いろいろです。まず、ルネサンスご飯の考え方と味を正確にお伝することです。素材選びのポイントや火加減フツフツの大切さを覚えて頂こうと気にかけています。
 また、弓田先生が複数の著書で言われている、料理から家族の愛や自然の大切さや人とのつながりや自然の息吹を感じて生きる自信を得ていく、ということをお伝えしたいです。特に「ごはんとおかずのルネサンス」の初版の166ページにある「ひとりの主婦が料理を作るとき、彼女の考え方、それまでの生き方が素材や料理法に反映され、彼女独自の彩りを持つ味わいが生まれます。(略したくないですが中略)料理は(中略)子供達にとってはもっとも大切な、生きていくための勇気を与える温かい言葉なのです。」の箇所は心に留まっています。生徒さんに家でも家族のために作ってあげたいと気持ちが盛り上がるよう雰囲気作りに努めています。

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※写真は2月の講習会で作ってメニュー。
 貝柱豆ご飯、ロールキャベツ、ウドのサラダアンダルシア風、そしてプリン!!!

──先日ブログの方でも紹介させて頂きましたが、幼稚園や小学校の子どもたちとの講習会をされているのは本当に素晴らしいですね。我々も去年、中学校で2年生3クラスに味噌汁を作る実習をしましたが、普段野菜を食べないという子どもたちがバクバクお替りしながら食べている姿を見て、先生達も驚いていました。
 初めてルネサンスごはんに触れた子どもたちの反応は如何でしたか?

 同様で普段あまり食べないというお子さんも勢い良く食べてくれました。
 幼稚園の先生も「自分の作るのと全然違う」と驚かれていました。年長クラスでは鰹節厚削りを「これなあに?」と珍しかったようです。小学生の実習では女の子もおかわりしてくれました。友達と自分のおわんにいりこが何匹入っているか数えあったり多く入っていると「やったー」の声が上がっていました。

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※3/29に開催した、子どものための炊き込みご飯と味噌汁の講習会

──ルネサンスごはん歴10年の続さんに、ぜひ手抜き術や簡単アレンジなどがあれば、教えて頂きたいのですが。

 はい。では私が日頃やっているアレンジなどを紹介しますね。

●「基本編」に載っているロールキャベツはちょっと手間がかかるので、豚スペアリブに塩、香辛料をまぶして、
 ざく切りのキャベツを入れてポトフ風にしています。
●煮豆やひじきの煮物や切干大根の煮物の少し残った煮汁と具を味噌汁に入れると一瞬で複雑な味になります。
●ぬか床に干し野菜を漬けて水分調節します。
●味噌を作る時、大豆を浸けておいた水で大豆を煮て、灰汁も取らないで仕込みます。
●すき焼きの割り下、しゃぶしゃぶの出汁、ラーメンスープなどにいりこ、鰹節、昆布、干し椎茸、切干大根、
 アーモンドを入れて味噌、醤油、塩、しょっつる、ニンニク、生姜等で味の変化を楽しんでいます。
 他に入れる野菜や肉などで変幻自在です。
●秋田の郷土料理「きりたんぽ」にも鶏ガラの他にいりこ、昆布を入れます。
●玄米とタイ米入りごはんの白米をもち米に変えて、麹と混ぜて甘酒を作ります。もち米と麹だけよりずっとおいしく出来ます。
●浅漬け風に自家製の新生姜の酢漬け(赤ワインビネガー入り)と自家製の梅干し、
 先ほどの甘酒に塩を入れたものを全部混ぜてなす、きゅうりを漬けたら絶品でした。
 漬け物は発酵食品を摂りたくてよく作りますが家では最年少の娘(5歳)に一番多く食べられてしまいます。
●酒粕を入れてイリコサプリメント風のクッキーを作っています。
●味噌汁を作るのが面倒だなという時はいりこ入りの味噌味の炒め物を作ります。
●おせちの本のかまぼこを加熱していない状態でつみれのようにしておでんに加えたら美味しくできました。
●玄米を食べる割合を増やしています。小豆、黒豆、もちきびなどと一緒にもっちりと炊きます。
●玄米で炊き込みご飯を炊く方法を研究中です。
●豚しゃぶ風湯豆腐のシメに手打ちうどんを入れて楽しんでいます。
●白菜付けの汁と少し残った白菜漬けを鶏鍋に入れて発酵した妙味を楽しんでいます。

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醤油と糀ベースの調味料。いりこ、昆布、アーモンド、切干大根、生姜、唐辛子入り
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ひじきの煮物から白和え(和え衣は味噌、練り胡麻、すり胡麻入り)
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白菜のサラダ、ひたし豆入り
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左:ひじきの煮物の煮汁で炊いたたけのこご飯
右:黒豆、小豆、もちきび入りご飯。いりこも綺麗な紫色に

──これからルネサンスごはんをやってみようかなと思っている方に、何かアドバイスはありますか?

 味噌汁の出汁は皆さん味の良さに驚かれるようです。出汁は味だけでなくミネラル摂取の点からもとても大事ということを知って頂きたいです。私も本当に理解するまでには5~6年かかった気がします。ぜひ1日2杯の味噌汁を。
 また、スペイン産アーモンドは一般的ではないかもしれませんが、料理の味、栄養、体調がガラっと変わるのでぜひ取り入れてほしいです。

──ごはんを食べて変わったことはありますか?

 皆さん言われますが、外食が魅力的でなくなりました。夫も「おいしい、おいしい」と言ってくれます。さらに夫は「こんなに奥さんの料理をほめる夫はいないよ」と言い、私も「こんなに料理を作れる妻もそういない(笑)」と返しています。半ば漫才のようですが、私は調理をしただけでイル・プルーの考え方やレシピ、太陽や土や水などの自然、優れた素材の恵みや調理器具(私はクリステルの鍋を愛用しています)のおかげと思っています。確かにこれらの料理を食べさせていれば大丈夫、という自信がつきました。。

──最後に。弓田亨、椎名眞知子に一言あればお願いします。

 イル・プルーのお菓子とルネサンスごはんに出会えたおかげで日々のごはん作りがますます重要と分かり、またやりがいも大きくなりました。今後は自分やごく近い人だけでなく、もっと多くの人にお伝えしていきます。
 困難の末に出来たお菓子とルネサンスごはんに出会えて本当に幸運です。

──ぜひこれからもルネサンスごはん研究家として、秋田でのごはん普及頑張って下さいね! ありがとうございました!


 


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