私のルネサンスごはん ごはんとおかずのルネサンス

第3回:近松恵美子さん(玉名市議・玉名元気ネットワーク主宰/熊本県玉名市)

【その3】これからも料理教室をやりながら、
地道にルネサンスごはんの普及を続けていきます。

──2010年9月の講演会で紹介して頂いた玉名の皆さんによるルネサンスごはん体験談は、本当にいい資料でした。弓田の「食の仁王ブログ」でも紹介させて頂きましたが、短期間でこんなにも効果がある、それも自分の身近の人達がご飯で元気になった、というのは非常に説得力がありましたね。今も集まっているそうですね。

※二度の講演会から生まれた玉名でのルネサンスごはん実践者の体験談集

近松恵美子さん(以下、近松) ええ。今も引き続き集めています。体験談を書いてくださった方にはアーモンドを100gプレゼントするなどして、これからも体験談を増やしたいと思っています。それが刺激になって頑張ってくれると思いますので。

──ちょうど、近松さんが毎月発行している「玉名元気ネット通信」1月号に載っていた体験談もビックリでした。野菜の茹でこぼしなどをしなくなっただけで体調が改善したとか。ちょっと抜粋させて頂きますね。

「料理とはただ作ればよい、煮炊きすればよい、味さえよければよい、家族がおいしいと喜んでくれればそれで十分、と満足して何十年も調理してきたそうです。それが、重ね煮とルネサンス料理教室の案内を見て参加し、野菜の皮を剥かない、灰汁を取らないこと、水に晒すと栄養が抜けてしまうなどを学ぶ中で、家族の健康を担っている自分の無知を思い知らされました。食べるということは、命を丸ごといただくことだと学びまして、それからは、魚もできるだけ小魚を買い、丸ごと食べるようにしています。先日は、小魚をミンチにして魚ソーセージを作ったところ大好評でした。塩や醤油など調味料も自然のものに変えましたが、旬の野菜を食べるようになり、野菜を無駄なく食べるようにしたので、食費は却って浮くようになりました。レンコンも皮を剥きませんし、ジャガイモも今では皮を剥きません。それで野菜くずが驚くほど減りました。かぼちゃの種も食べるために干しています。また、ルネサンス料理の金平ごぼうを習って、家でも作ってみたところ、大好評で何回も作っています。今まで調味料でごまかしていたのですが、食材が持っている味を楽しめるようになりました。そしてこれが本当のおいしさなんだなあと思いました。今まで、ミネラルを補うために出汁を使うことは実践していましたが、野菜の調理の仕方を変えたことで、一ヶ月もしないうちに、主人の体調がよくなってきたのには驚きました。朝の目覚めがよいし、冷たい外気を吸っても、咳がでなくなりました。また、10日目くらいから便秘もよくなりました。恒例の風邪もひかなくなりました。自分の代はこれでよいのですが、次世代にも食の大切さを伝えなければと思います。食は病気を予防するものだとつくづく思いました。」

近松 60代の主婦の方から寄せられた体験談ですが、これには私も驚きました。これまでミネラルを多く含んでいるいりこや昆布などを沢山食べることで健康になった、という体験談は聞いていましたが、野菜の皮を剥かない、水に晒したり、茹でこぼしをしないようにしたことで元気になったのです。

 弓田さんが強く仰っているように、現代の食材は、50年前と比して栄養素が1/5か1/10、特にミネラルの減少が激しく現代型栄養失調が蔓延しています。昔は栄養たっぷりの野菜である上に、味噌汁や煮しめなど、野菜の煮汁をそのまま食べる料理が多かったので粗食でも元気だったのでしょう。

 今は野菜の栄養が激減しているにも関わらず、給食関係者や栄養指導者さえも調理法については重要視していません。水に晒した上に茹でこぼしをして調理しているのを見ると、悲しくなります。大量で作る場合はどうしても冷凍食品も多用することになりますし。

──そういえば、昨年はミネラル不足に警鐘を鳴らす意味で、食品と暮らしの安全の方の講演会も開かれていますね。

近松 はい。その時の講演会の狙いは、多くの方々は輸入野菜を食べていないと考えているけれど、大半の加工品、冷凍食品には輸入野菜が使われており、その野菜の輸送の段階で冷凍や水煮をされてしまうので、栄養が流出してしまっている、ということを理解していただきたい、ということ。また、添加物についても理解してもらいたい、ということです。精神論で、「手作りの良さ」を説くよりも、現実の加工品の怖さをしってもらうことのほうが大事だと思ったのです。

 現在はあまりにも安易に弁当を買っている現状がありますので、出来合いの弁当の危険性を、そして添加物の危険性を理解してもらわなければ、家庭料理の大事さに気がつかないだろう、というのが私の考えでもあります。

──よく弓田が、私達は餌を食べているわけではない。だから、栄養が補えるからといってカップめんに栄養のある出汁をかけるのは、本末転倒であると言っています。

近松 私も、弓田さんの言うように、家庭料理の復興を目指しています。その根本は忘れていません。ただ、いろいろな層の方がいますので、いろんな角度からのアプローチが必要であると考えています。

──ちなみに、近松さんがご自宅でよく作られるルネサンスごはんのメニューがあれば、教えて頂けますか?

近松 私が続けているのは、アーモンドといりこが入った基本のご飯と、ルネサンス味噌汁。大根の味噌汁は皆さんに好評です。あとは金平ごぼうもよく作ります。カレーライスは2回作りましたが、とてもおいしかったです。ぶり大根、雑煮、いわしのつみれ煮もおいしかったですね。あとはルネサンスごはんの考え方を基本にしてアレンジしています。

──近松さんオリジナルのアレンジメニューがあれば教えて頂けませんか?

近松 アレンジ、ということとは少し違うかもしれませんが、私が習っているフラワーエッセンスの先生にルネサンスごはんをお薦めしたところ、いつも玄米だと胃が持たれるので少し精米しているそうなんですが、ルネサンスごはんの本を読んでから、精米後の糠を入れてごはんを炊いてみたそうですよ。面白い発想ですよね。

──そうやって、皆さんそれぞれで何か発見をして、ルネサンスごはんの考え方を取り入れていってくれるといいですね。そして、ルネサンスごはんを始めてもらうキッカケとして、近松さんは今では講習会も開いていらっしゃる。

近松 やはり、実際に料理を体験できる場がある方がいいと思いました。当初は仲間にやってもらおうかなとも考えましたが、結局私がやることになりました。

 講演会をともに企画した仲間議員から、ルネサンスご飯の普及を継続したほうがいいよ、とはっぱをかけられましたし。男性から言ってもらえるのはうれしいですね。料理教室って大変だから億劫なんですが、やはり本のレシピは試してみる必要があるなぁと思っています。

──講習会ではどんな料理を紹介していますか?

近松 材料を揃えて、本を見ながらみんなで作ってみる、といった教室を何度か開いています。アーモンド入りのご飯、ルネサンスの味噌汁、金平ごぼう。基本的なメニューです。皆さん喜んでくださいますよ。

──これまでの料理法とは考え方が違うということを説明するために、いろいろ工夫されているそうですが。

近松 基本的に、食材の栄養が落ちていることをしっかり説明し、皮を剥かない、水に晒さない、あく抜きしないなども説明しなければなりません。料理だけでは駄目です。実際、人参を水の中に削っていれたものを見ると、水がすぐに赤くなるし飲んでみると甘いです。これを体験してもらうことにしています。さらにこれを茹でると、もう味がなくなり、生の人参とは大違いです。そういうことを目でみて味で体験してもらっています。野菜を生で齧ってもらうことも必要だと思います。後は、心と身体が喜ぶ料理を味わっていただくことです。

 また皆さんには、「スペイン産アーモンドはなかなか手に入りにくいでしょうから、いりこと昆布だけでもよいですよ」と話していますが、家でご飯にアーモンドを入れないと「手を抜いたね」と言われます(笑)。単においしいだけでなく、おいしさ=栄養素が含まれている、とするならば、大豆やひよこ豆で代用してももちろん構わないのでしょうが、アーモンドを入れるほうが、よりベターでしょう、と考えます。

 弓田さんの本を読んだ時、野菜だけでなく、魚もおいしくなくなった、と書いてあったときには、納得できずにいましたが、栄養成分表を見ると魚の栄養も減っていますよね。これだけ栄養素が減ってきている中で、どうにか保とうとするならば、本当はやはりスペインの豊かな栄養素を含んだアーモンドを入れたほうがよいのかな、と思ってしまいます。

 例えば大豆に変えると8割くらいの力、雑穀なら9割くらいの力、などといった指標があるといいですよね。8割くらいならアーモンドがなければ大豆を入れようと思うかもしれませんし。

──なるほど。それは面白い考えですね。

近松 とにかくごはんと味噌汁を作って食べさせることをあちこちでしています。弓田さんの講演を聴いた方の中でも、既にルネサンスごはんを辞めてしまった人もいます。とりあえず今、健康上の問題がないと、自分には必要ないと考えるようです。日本の食材の栄養素が1/10くらいに減っているのであれば、きちんと実践すればなんらかの変化があるはずだし、それを自分で感じることのできる変化があってこそ、今の日本の食の問題を感じることができるはず。だからこそ、これを感じることができるまで、実践してもらいたいと思っています。人間の思い込みを打破するのはとても難しいですが。

 でも、この田舎で4月と9月の二度の講演を併せたら延べ1000人くらいになります。これは東京でしたら15万人分ですよ。田舎は情報が広まりやすいので、今後が楽しみですね。とにかく私は弓田さんと同じで性格がしつこいですから(笑)、ごはんを炊いてジャーごと持参して食べさせたり、味噌汁の出汁セットを配ったり、家に来た人には必ず食べさせたり。とにかくまず食べてもらうということを地道に続けていきますよ。

──そうした近松さんの熱心な活動から、新たな流れが生まれてきているのも事実です。講演会に参加された方の中から、新たに講演をすることになった熊本市の栄養士・永野さんや、香川の則久さんらとの出会いが出来ました。コンポスト野菜の吉田先生の野菜も、弓田が珍しく「これはおいしい」と可能性を認めています。

近松 体験談に「糖尿病の検査結果がよくなった」というのが2つありますが、先日また糖尿病がよくなったという人からの連絡があり、体験談を書いてもらうことにしました。いつか、病気や症状別に体験談を作りたいですね。

──それは心強いですね。どうぞこれからもルネサンスごはんの協力なサポーターとして、宜しくお願いします!

近松 ええ。これからも、ルネサンスごはんに限らず、いろんな健康法や体験談を紹介することで、「病気」と言われているものの正体を違う角度で感じていただきたいと思っています。

──ありがとうございました。


【その1】弓田さんの本を読んだ時、自分と同じ人種だなと感じました。思い込みの強さ、正義感、歯がゆく思う心、思うようにならない悲しみ──。その思いを伝えたいと、講演会を開くことを決意したのが全ての始まりです。
【その2】2010年、春と秋、二度の講演を経て──。私はルネサンスごはんを一人でも多くの人に理解してもらいたいのです。何故なら、ルネサンスごはんを継続し、日本人の尊厳を取り戻すために、です。


 


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